第六章 対決、再び

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久しぶりに大島は食堂に来ていた。 大島がここに来るのは珍しい。 というか、この基地の食堂に来るのは初めてかも知れない。 普段は部屋で自分で作って食べるのだが、今日はそういう気分にはなれなかった。 基本は和食しか食べないのだが、今日は洋食が盛られた食器がお盆に乗っかっている。 気分転換したいって思いが食の転換に繋がったのだろう。 …にしても油っこい料理ばっかりだ。 周囲には特に誰もいない。 オリーブグリーンの飛行服を着たアメリカ空軍の士官やパイロットからは遠ざかって食べている。 きれいな英語に混じって聞き慣れた声が聞こえた。 「…こんなところにいたのか」 テーブルの向かいにお盆をもったパイロットが腰掛ける。 顔には艶があって、美少年は言い過ぎだが、そこそこいい顔をしている四個下の男の子だ。 太いフライドポテトを食べながら、有希は話しかけてきた。 「最近、元気がないじゃないか」 「別に」 大島は素っ気なく答える。 「最近、疲れた顔してないか?」 「別に」 「何か隠してないか?」 「別に何でもないってば」 そういいながら、エビピラフを口にめい一杯含んだ。 油がギットギトで、血がドロドロになるような感覚が肩を覆う。 最後の一品まで平らげると、お盆を乱暴に持って席を後にした。 有希の視線を痛いほど感じるが。 無視した。 篠田のやつ… あの男のどんなところに惹かれたというのだろうか? 私には全く理解できなかった。
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