第六章 対決、再び

8/51

815人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
07/09 23:58 ■「CLT-1B格納スペース」 薄暗い照明の下、キーボードを叩く音だけが響く。 すでに日付は変わろうとしていた。 だが、男はパソコンの電源を落とし、隣に敷かれた布団で寝ようとは、しなかった。 そもそも、なんでこんなところに布団が敷いてあるか疑問に思うかもしれない。 一応、男にも部屋が割り当てられている。 だが、相部屋で同室人が瀬戸だと知ると、すぐに断った。 瀬戸とは小学生の時から一緒だった。 中学も、高校も同じにならないようにしたのに、結局同じ学校で、しかも同じクラスだった。 ちっちゃい時から常にケンカばかりしていて、泥で作った球でお互い投げあっていた。 中学の時は、学ランを着乱し万引きばっかりしていた。 高校生になったときは、バイクでお互いカマしあったこともある。 そんなこんなで、一緒にいる時間がとにかく長いのだ。 どうせ、相部屋でも険悪なムードになるだけだ。 もうすっかりぬるくなった緑茶を口に運びながら、パソコンを操作する。 他人が彼を見たら、断続的にチカチカと光が顔を照らすのを怖がるかもしれない。 長瀬は動画を見ていた。 それは15秒ほどの長さで、荒れ狂う海が映った暗い動画だった。 見終わってはすぐに再生、また見終わってはすぐに再生。 それを何回も続けていた。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

815人が本棚に入れています
本棚に追加