第六章 対決、再び

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それはちょうど一年前くらいの映像だった。 北基地沖で起こった領海侵犯事件。 その事件で一部始終を記録した映像を先ほど言ったように繰り返す。 国家機密級のこんな代物をなぜ長瀬が持っているのか? 普通はこんなものを大尉ごときの隊員が見れるはずがない。 国家機密は国防総省の機密保持施設にある、数人しか立ち寄ることが出来ない場所にあるのだ。 だが、彼はある人物に頼まれてこの映像を解析している。 「なんかおかしいんだよな…」 長瀬は一人つぶやいた。 たった15秒の映像。 それには船舶に撃墜された政府専用ヘリの黒いボディが海面に浮いているシーンしか映っていない。 手元にある報告書も見ながら頭を抱える。 【政府専用ヘリ  乗員:7名 内、大統領夫人、その息子、及び乗組員5名  撃墜予想時刻1623  偵察ヘリ現場海域到着時刻1741】 相変わらず荒れ狂う海が断続的に長瀬の顔に投影される。 海面には今にも沈みそうなヘリ。 手元には資料。 だいたい、どうやったら政府のヘリと防衛隊の間違えるんだっつうの… 見間違えたというのか? 船舶の連中がどんな勢力でどれくらい強いのかは分からない。 ただ、工作員などのプロであるはずだからそんなミスはしないだろう。 再度映像を見直す。 15秒の映像からは何も見いだせそうになかった。 「待てよ…」 手元の資料を読み返す。 何度も見た映像をもう一度確認する。 長瀬の中である感情が確信に変わった。 「見つけたぞ…」
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