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カーテンの隙間から射す淡い光が、朝の到来を告げる。
……やはり訂正しよう。昨夜もよく眠れなかった。
ここのところ寝つきが悪い。
どれだけ眠ろうとも、必ずと言っていいほど睡魔が襲ってくる。
油断すると眠ってしまうのである。催眠にかかったように、彼は暗がりを恐れた。
ベッドの感触が気持ちいい。
窓から差し込む朝日などお構いなしに、彼は再び夢の余韻に浸る。
さっぱりと片付いた部屋は、本当に年相応の学生の部屋だということを疑わせる。
部屋の隅には何も置かれていない机のみ。
学生用の鞄は無残にも、机の横。ベランダの入り口の前に放置されている。
壁にポスターなどは一枚もなく、机の左斜め後にぽつんと大きめの本棚が置いてあり、その真正面に少年が眠るベッドがある。
清清しい朝。
シュミレーションゲームなどで、こんな日は愛くるしい幼馴染が耳元で優しく囁いて起こしてくれるというシチュエーションが定番であり、そんなムフフな展開など望むべくもなく、いやむしろ今はそんな夢のような状況さえも彼にとっては眠りの妨げにしかならな───。
「さっくーーーーん!!起きなっさーーーーーい!!!!」
……突如発生する爆音。
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