夜を喰む者(人情編)

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急いで二階にある自分の部屋から出て、曲がりくねった階段を下りる。 急ぎ足で下りたため、ドタバタとうるさくなるのは仕方ない。 いや、今はどうでもよいことだ。 階段を下りてすぐ右に。 薄いすりガラスが張ってあるキッチンのドアを開けると、今まさに、真実が料理を開始しようとしているところだった。 「ちょ、ちょっと待ったーーーー!!!!!!」 急いでキッチンに入り、真実が手に取ろうとした食材を掠め取る。 「ちょっと、何するのよ?」 削夜の意味不明な行動に、真実は少し怒った感じの声で睨み付けてくる。 「い、いや、その、僕、昨日はお腹いっぱい食べたんで、今朝はあんまりお腹減ってないんだ!」 一生懸命弁解する削夜。 真実からは見えないが、削夜の後頭部からは汗が滝の如しである。 「ふーん……さっくんっていっつも晩御飯多めに食べるんだね」 じとりとこちらを見据えてくる真実の目は明らかに削夜の言動を疑っていた。 …………それもそのはず。 削夜は、真実がほぼ毎日起こしに来てくれるようになってからというもの、最初の一回以外に真実に朝食を作らせたことがない。
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