夜を喰む者(人情編)

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何故なら、真実が作った料理は"変化"するからだ。 例えば、味噌汁を作るとする。 熱いお湯に味噌を浸けて、掻き回し、具を入れればそれで完成する。 という日本の伝統が誇る簡単で誰にでもできるお手軽な朝食の華が、味噌汁というモノだ。 もちろん削夜は、初めて真実が朝食を作ってあげると言ってくれた時は微塵も疑わなかった。 だって、味噌汁は日本人なら誰でも作れるものだと思っていたからだ。 ……………………それが。 どこをどう間違え、どんな毒を入れ、どんなゲテモノを具に、どんなウイルスをダシに、あまつさえどんな黒魔術を使えば真実が作った、いやむしろ零から創造したような新たな地球外ならぬ、未確認宇宙外物質に”変化”するのか、説明できる者はいるだろうか? このアルマゲドンを呼び起こしそうになるようなモノを、どう扱えというのか? 科学が得意だから新しい物質の誕生に胸が躍るのはわかる。 料理教室の講師をしている母親がいるのだから、当然料理は上手いものだと思い込む。
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