夜を喰む者(人情編)

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「じゃあ朝ご飯どうするの?何かお腹に入れておかないと体力保たないよ?」 「あ、ああ。確か冷蔵庫に○イダーあったでしょ?それにするよ」 苦笑いしか出てこない。 真実が取ろうとした、哀れな生贄達(しょくざい)を背中に隠しながら削夜は言った。 「……そう?……まぁ、色々納得いかないケド。さっくんがそれでいいなら……」 何やらブツブツ言いながらキッチンから出て行く真実さん。 〔よ…………よかったぁ~~~~〕 真実の野望を阻止し、今日も一日生き延びる事ができたことに感謝の色を隠せない削夜であった。 ……学校に行く用意をして家を出る。 玄関の戸締り、窓の戸締りと、泥棒さん避けの最低限の対策は済ませてある。 削夜は一戸建ての家で一人暮らしをしている。 というのも、幼い頃に両親が他界してしまったからだ。 それからというもの、元々器量のよかった削夜は、何でも一人でそつなくこなしてきた。 ただ、今朝のように常日頃寝不足なのは仕方のないこと。 何せ炊事、掃除、洗濯、家計と、何から何まで全てこなさなくてはならないのだから、一人暮らしに関しては削夜の私生活は並大抵のものではない。
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