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紅い稲妻が走る。
空は茜色に染まり、暗雲とともに混ざりながら、ぶつかり溶け合っていた。
大地に根付くのは暗黒の樹。
枯れ果てた大地。
いつ見ても不気味で、不可思議で忌まわしい。
『ソレ』は歩いて行く。
主のもとへ。
ひたひた。
ひたひたと。
この地獄とも荒野とも形容し難い場所に、それの主はいた。
一目でわかる大きな姿。白いローブに白髪と白髭。
おおよそ神というイメージに近い。
ソレは近付き頭を垂れる。
どうやらソレは白い人型に服従しているようだ。
白い巨人は、片手を挙げどこまでも続く水平線の彼方を指し、声とも叫びともとれる、しかしそれでいてはっきりと聞き取れる"音"で言った。
──────行け──────
命令を聞いた途端、ソレは、サッと元来たルートを引き返し、やがて見えなくなっていった。
エピソード 0:END
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