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姉や兄の友達が来てケイトについて聞いても「親戚の子だよ」といつも疎まれる。
自分の何が気に入らないのか、はっきり言って欲しかった。
だがもう、もはやそんなささやかな願望など無意味に等しい。
何故なら受け入れてしまったから。
この現実を。
これが現実なのだと。
幼心に許容してしまった。
自分が嫌われているならいい。
別に好かれようと努力するつもりもない。
何もしていないのに嫌われるなら、それは嫌っている方に非がある筈だから───。
もう、どうでもいいか。
そう心の中で呟く。
車のドアに片肘をつき、窓の外を一瞥するケイトの表情は、どこか癒しを求めているようだった。
ケイト達が乗った車が、誰もいない夜の車道を走っている時、広々とした草原から凄まじいスピードで車道に近付く一つの影があった。
───後の席は学校や恋愛関係の話で盛り上がっている。
ソレは、荒い呼吸とともに闇を駆ける。
ソレは速く。疾く。
───クリスが後で賑わっている話題に相槌を打つ。
ソレはただ一直線に走っていたため、車道を走る一台の自動車という乗り物に気付かなかった。
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