-想い-

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猫は自分で わかっていた。 不吉な黒猫の絵など 売れないことを。 それでも絵かきは ひたすらに 猫だけを書いた。 絵かきは猫を 必要とした。 猫もそんな絵かきを 必要とした。 "だから 冷たくなったんだ…" 猫の頬を 涙が濡らした。 "……手紙は、たしかに 受け取った。" 寒空の下、 猫は駆け出した。 .
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