プロローグ

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人生はなんて、つまらないモノなんだろう。 もし、この世界に楽しい出来事があるとしたら、きっと俺から遠い所で起きている。 決して俺なんかには起こらない。 そうだ、俺には起こらないんだ。 昨日と同じ今日が来て、今日と同じ明日がやってくる。 何一つ変わらない日々の繰り返し、繰り返し… 涼介(ああ、何でもいいから刺激が欲しい…) 3年になり、汚れた通学用バッグをママチャリの前籠に投げ入れる。 とはいってもバッグには、バンドスコアと雑誌が入っているくらいだ。 涼介(今日は公園にでも寄って帰ろう) 学校の自転車置き場で、そんな事を考えていた。 何人かの顔見知りの男子と女子が 「バイバイ、お疲れ」 声を掛けてくる。 適当に手を上げて応えると、校門を飛び出した。 初夏の温い風が少しだけ心地よい。 涼介(もう6月か…) 本来なら受験勉強に打ち込むべきなのだろうが、そんな気にはなれなかった。 特に夢もなく、目標も無い…。 この2年間、ただ毎日を適当に過ごしてきた。 ベースを弾いている時が唯一、本気になれる瞬間だった。 ………。 家に帰る途中にある公園に立ち寄る。 割りと綺麗で、広さもそこそこある。 時間を潰すために時々立ち寄っていた。 涼介(帰ってもやる事無いしな…) 木陰のベンチに腰掛けると、ポケットからiPodを取り出して音楽を再生する。 こうしていると、なんだか落ち着く…。
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