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「母さん」
僕の足は知らないうちに母さんの病室の戻っていた
「純。どうしたの?」
当然、驚いて聞き返す母さん
「あの子は…車椅子のあの子は誰なんだ?」
知らないとわかっていても止まらない自分がいる
ただ、無性に気になるのだ
「あぁ。來未ちゃんの事?」
「來未ちゃん?」
先程、聞いたばかりの名前
母さんの口からその名前が発せられると
なんだか懐かしい気がする
「覚えてないかしら?」
「え?」
どこかであった事が在るのだろうか?
「白野來未ちゃんよ。ほら、中学の時に近所だった」
《白野 來未》?
そうだ。思い出した
中学の時に好きだった女の子だ
ずっと言えなかった想いが込み上げてきた
そのささやかな恋は急に
転校というありきたりな展開を迎えたんだった
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