大会の行方

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 ◆ ◆ ◆ ◆ 光輝と皐月が別れてから2時間後の訓練所。龍牙と彩華、翔と唯、そして志乃の5人は、激しく肩を上下させながら地面に倒れ込んだ。 「もう9時か……。今日はこれで終わりにしましょう」 腕時計で時間を確認した修司は真衣に声を掛ける。真衣も自らの腕時計に視線を落とし、修司に向かって頷いた。 「そういうことだから、美琴君もそろそろ」 修司の次の視線は美琴へ。彼女も頷き返し、地面に倒れる2人に手を差し伸べる。 「今日は、いつにも増して、キツかったな……」 「うむ、まったくだ……。もう、魔力が、残っていない……」 修司が担当している2人は、激しい呼吸で言葉が途切れながらも、なんとか自力で立ち上がった。けれど、膝に手を付き、とてもじゃないが正しい姿勢など保てない。 そんな2人の様子を横目で見つめる修司は、申し訳なさと厳しさの間に立たされていた。 (すまない。“力”のないキミ達はあの2人以上に強くなってもらわなければならないんだ。これもキミ達のため……。我慢してくれ) 心中で言葉を発し、集まってきたメンバーに視線を移す。 「みんな、今日もお疲れ様。明日は土曜だから授業は魔術だけ。その後に特訓はツラいだろうが、頑張ってくれ。以上だ」 「ありがとうございました……」 疲れ切った5人の声が重なると、声は一段と重々しくなる。その様子に苦笑を漏らした修司は、真衣と視線を合わせ、2人で訓練所を後にした。  
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