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「さて、それじゃ私達も帰りましょうか。私は食堂に行くけど、あなた達はどうする?」
全員の顔を見渡しながら問う美琴に、唯を始めとする女性陣が唸り声を上げる。
「あまり食欲はないけど、少しは食べとかないと体に悪いわよね……。私も御一緒していいですか?」
思案すること数秒。唯の発言を皮切りに、彩華と志乃も同行を求めた。もちろん、美琴に断る理由などない。
「もちろんよ。二宮君と秋雨君は?」
美琴の視線は男子2人へ。しかし、
「すいません、先輩。俺はまだやることがあるんで遠慮させていただきます」
「僕もです。すいません」
2人は軽く頭を下げて誘いを断る。龍牙に至っては即答だ。
「そっか。仕方ないわね。じゃあ女の子だけで食べましょうか。じゃあね、2人共」
ヒラヒラと手を振った美琴は振り返ることなく部屋を出ていく。残された3人も、怪訝な表情で一度振り返ったが、特に言葉を発することなく美琴の後を追い掛けた。
女性陣がいなくなり、訓練所に残ったのは龍牙と翔の2人だけ。
「ホントに行かなくてよかったのか? お前は用事なんてないだろ?」
そんな中で放たれた龍牙の言葉に、翔は苦笑を浮かべて口を開いた。
「さすがにあのメンバーの中で男1人はキツいからね」
それに、と言葉を続ける翔は、真剣な眼差しで龍牙の目を見つめる。
「水臭いじゃん。何かやるなら言ってくれれば手伝うのに。1人より2人の方がいいでしょ?」
しばらくの間ぼんやりと翔を見つめ返していた龍牙は、ふと口元を緩め、笑みを浮かべた。
「手伝って、くれるか……?」
「もちろんだよ」
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