8111人が本棚に入れています
本棚に追加
ざわざわと教室が騒がしくなる中、今まで窓際で静観していた修司さんが教壇に立つ。学級委員から修司さんに代わったのを目にしたクラスメート達は、声を潜めながら会話を続けているものの、身体はしっかりと前に向き直った。
「みんなも友達と話し合いたいだろうから、10分は相談の時間としよう。その後自分のやりたい種目を黒板に書き込んで、人数が多ければじゃんけん……ということでいいかな?」
異論を唱える者はいない。それを確認して、時計に視線を向けた修司さんは、
「では、好きに移動していいから始めてくれ。あぁでも、他のクラスに迷惑にならないように」
と、二言。複数のイスを引く音が重なってから数秒後、迷惑とまではいかないまでも、教室内は再び騒がしさに包まれた。
「さて、どうする、皐月?」
例に漏れず、俺も後ろに身体を向けながら声を掛ける。背後の女王様は、背もたれに身体を預け、偉そうに腕を組みながら、自分の足下の床を睨み付けていた。
慣れたもんだよ。あの格好も、この呼び方も。まだ恥ずかしさはあるけど、呼ぶと決めてから口にすれば多少はマシだ。
問題なのは、呼ばれた時。不意に呼ばれるから心の準備ができないため、どうしても気まずくなってしまう。それは皐月も同じことで、さっきから床を睨み付けているのは、俺と目を合わせないようにしてるから(多分)。こればっかりは慣れるしかないよな……。
皐月からの返事はないため、今一度黒板に視線を向ける。
障害物競走、棒倒し、借り物競走、サバイバルマラソン。この4種目の中から1つを選ぶとすると、マラソンだけは絶対に選びたくない。無難なのは、障害物と棒倒しってとこか。
最初のコメントを投稿しよう!