再びの学園行事

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《さぁ始まりました! 桜丘魔術学園高等部体育祭。競技の実況・連絡は私、放送部の綾部がお知らせします。それでは早速、障害物競走に出場する選手は入場門前に集合してください。繰り返します。障害物競走に出場する選手は入場門前に集合してください》 陣地で待機すること数分。早速最初の競技の参加者が呼ばれ、うちのクラスから10人が行動を開始する。みんなの声援を受けて入場門へと向かっていく10人を見送り、俺達はトラック内へと目を向けた。 「さて、どんな障害物が用意されてるんだろうな?」 トラック内には、まだ障害物が見えないように黒幕が引かれ、競技に参加しない生徒達による推論が交わされる。でも、隠す意味ってあるのか? どうせハードルとかネットとか跳び箱だろ? 《おぉっと、ここで準備が整ったようです。それではまず観戦者の皆さんにお披露目といきましょう。くれぐれも声に出してネタバレなんてことはやめてくださいよ? それでは、オープン!》 やけにテンションの高い実況と共に、俺達の視線を遮っていた黒幕が、体育祭実行委員らしき人達によって回収される。そして俺の目に映ったのは、想像していたのとまったく違う物だった。 「な、なんだアレ!?」 おぉー、という周りの声に反し、俺だけが戸惑いの声を上げる。チラッと左右に視線を走らせるも、龍牙や唯や彩華は面白そうに目を輝かせていた。 《ネタがバレるので障害物の説明ができないのが残念です。どうやらこの競技、私の実況はなしのようですね》 心底残念そうな沈んだ声がスピーカーから流れてくる。 この時になってようやく、俺は気付いた。ここが魔術学園であり、俺が想像していた普通の体育祭ではないことに。  
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