再びの学園行事

16/115
前へ
/217ページ
次へ
「風だ……!」 そんな時、我がクラスの陣地内から漏れる誰かの呟き。それに続くように、数人の男女が同意の声を上げる。よく見れば全員風属性の人達だ。 ってことは、さっきD組のヤツが落ちたのは風に押されたから? おいおい、あの落ち方だとかなりの強風だぞ? 何であんなに静かなんだよ!? 平均台を渡れないタネはわかっても、実際に参加している翔達は気付かない。誰も動こうとしないということは、彼らの中に風属性はいないらしい。このままじゃいつまで経っても終わらないぞ……。 そう思った矢先、4人の中の1人が動いた。 翔だ。 平均台に乗せていた片足を下ろし、台に背を向けて3人の所に戻っていく。かと思いきや、唐突に踵を返して走り出した。 突然のことと、平均台への警戒に、残りの3人は動こうとしない。そんな彼らを余所に、翔は十分に助走をつけて台の端に片足を乗せ、跳んだ。 伸脚のまま前方に宙返りしながら身体を捻り、2回転目で身体の向きを正面に戻して着地。膝を曲げ、片膝を地面に着けて着地した翔は、何事もなかったかのように走り出した。 《と、飛び超えたぁぁぁっ! なんというアクロバティック! 実況はしないと言った私ですが、あまりの大技に思わずスイッチを入れてしまいました! 彼、ムーンサルトとかできるんじゃないでしょうか!? なんだかテンション上がってきました! 私も頑張って可能な限り実況を続けたいと思います!》 復活した実況は置いといて、残された3人も翔に倣い、平均台を渡るのではなく跳び超える。翔のようなアクロバットな動きは無理だが、跳び超えるだけなら身体強化で可能な範囲内だ。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加