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それでも龍牙は止まることなく話し続ける。
「前に翔が言ったよな? 皐月は昔はあんなんじゃなかったって。アイツは……中2の時から変わっちまったんだ」
そう言った龍牙を含むみんなは、つらそうな表情で俯いた。
「中学2年生の始業式……。皐月は学園に来なかったんだ。
風邪か何かだと思った俺達はアイツの部屋へお見舞いに行った。
でも、皐月はいなかった……。いや、出てこなかったんだ。
それから毎日、皐月は学園にも来ない、部屋に行っても出てこないの繰り返し。
まさに今みたいな状況だった。
そんな日が続いたある日、皐月はやっと学園に来た。
けど……その時の皐月は俺達が知ってる皐月じゃなくなってた。
昔の笑顔は消え、冷たい眼になり、誰とも関わらなくなったんだ」
そこで龍牙は一区切りし、一息ついてから再び口を開く。
「それから俺達は降谷先生に呼ばれ、皐月を支えてくれと言われた。
どうして変わっちまったのか理由を聞いても教えてくれなかったが、俺達は言われるまでもなく今まで通りに皐月に接した。氷の女王と言われてもな。
そしたら皐月は次第に俺達に心を開いてくれるようになった。
そして今に至るわけだ」
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