再びの学園行事

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その一方で、翔やE組の身のこなしは軽い。凍った地面を物ともせず、むしろ利用して、スケートのように滑ってスピードに乗る。飛び交う魔法矢も何のその。あっという間にC組を抜き去り、最後の障害、底の見えない断崖に挑む。 身体強化を施しているなら、3メートル程度の距離を跳び超えることぐらい難しくないはずだ。ましてやあの2人は魔法歴4年目。俺とは違って下手な失敗はしないだろうし。問題なのは足下が凍ってることぐらいか。 でも、だからこそ怪しい。2つ目の障害といい、ここも何か仕掛けがあるに違いない。そう、例えば、 《E組、行ったぁぁっ! そして私の予想通り!》 過剰な重力負荷で穴に引きずり込まれたり……。 《残念ながらE組は失格! さぁ、舞い込んだチャンス、B組はどう攻略する!?》 崖の目前で戸惑いの表情を浮かべる翔。あそこから見たらE組の彼が消えたように見えたかもしれない。 あの瞬間、何の策もなく突っ込んだ彼は、空中であったにもかかわらず、上から何かに押し付けられたように勢いよく闇の中に消えていった。あの落ち方は押されたと言うより引っ張られたと言った方が当てはまる。 崖はすぐそこ。今さら止まれない。どうする、翔?  
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