再びの学園行事

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そんな俺の心配を笑い飛ばすかのように、戸惑いの表情を浮かべていた翔の顔付きが変わる。その顔に浮かぶのは、言葉通り、笑み。小さく何かを呟くと、彼の右足に茶色いオーラのようなものが浮かび上がる。 そして、小さな跳躍。その瞬間、足に纏わり付いていたオーラが拡散し、翔の右足が石と化した。落下の重力を加えたその足で、凍った地面を力強く蹴り付ける翔。 重い一撃は凍った地面を砕き、本来の地面を露出させる。その流れのまま、彼は再び口を動かす。 変化が起こったのは露出した地面。足場を砕いた右足が元に戻ると同時に、翔の足下の地面が盛り上がり、斜めに突き上がる。 2メートル程伸びた地面から砲弾のように撃ち出された翔は、重力負荷の影響を受けながらも、高さと勢いで無事に崖の向こうまで飛び超えた。 《弾・丸・ライナーっ! なんとB組、勢いでアレを無理矢理攻略しました! 可愛い顔して大胆不敵! 今、当然と言わんばかりの余裕の表情で堂々のゴーーーールっ! 一時は抜かれましたが、最後の最後で大逆転! B組、1着です!》 「よっしゃあぁっ!」 「いいぞー、翔!」 「よくやったわー!」 「さすがだぞー!」 ガッツポーズで叫ぶ龍牙に続き、俺達も翔に賞賛の声を送る。脱落したD組とE組には悪いが、B組からは翔を讃える大きな歓声が沸き上がった。  
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