再びの学園行事

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レースは続き、次はようやく第5走者。翔の話によると、ここで皐月が走るみたいだ。 黒幕を抜けてスタート地点に並ぶ5人。例によって、B組の皐月は一番外だ。 実行委員の掲げたピストルから、5回目の乾いた音が鳴り響く。 《この競技もようやく中盤。今、第5走者が揃ってスタートしました!》 スタートダッシュがわずかに遅れた皐月は現在4位。よしっ、一先ず安全だ。 第1の障害、ハードルは難なく突破。続いて第2の障害、平均台。やはりと言うか、スタートダッシュとハードルの成功で勢いに乗っていた先頭走者の男子は、無音の強風により蟻地獄に落とされる。あれはA組か。ドンマイ。 目の前で起きた現象に後続のスピードが落ちる。そんな中、最下位だったE組の女子が一気に前に出た。 一連の流れは見ていただろうに、彼女は何をするでもなく、普通に平均台を渡り始める。でもって、何故か無事に渡り切った。 《およ? このパターンは初めてですね。E組、見事な攻略です》 実況も呆気にとられた感じで声に力がない。今まで左右に防御魔法を展開したり、力技で押し通ったりといった人はいたが、普通に渡り切ったのは初めてだ。 うちのクラスの風属性のヤツの話によると、風に風をぶつけて相殺していたらしい。風属性ならではの攻略法だな。 彼女が渡ったことで、これ以上差が開くのはマズいと感じたのか、後続の3人も動き出す。皐月とD組女子は防御魔法を展開しながら平均台に乗り、C組男子は皐月の上を跳び超えた。 その際、皐月がムッとした表情を浮かべたのは見逃さない。負けず嫌いだからな、アイツ。無茶なことしないといいけど……。  
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