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これこそが、模範解答と言える攻略法だと思う。あの崖はどう見ても魔法で作られたもの。それならば防御魔法で穴を塞げば、道もできて重力負荷も遮ることができる。魔法の効果は魔法で防げばいいんだから。
氷の壁で作った道の上を悠々と滑り、最後の普通の地面は走って、皐月はぶっちぎりのトップでゴール。もちろん、氷壁を消すことも忘れていない。
皐月のゴールから少し経ち、3つ目の障害を抜けた2人は、見事穴に落ちていった。C組はタイムオーバーということで失格に。
第5レースはB組以外無得点という結果になり、俺達は他クラスより一歩リードした。
でもまぁ、他クラスでも同じことが起こって、最終的には得点に差はなかったけど……。
その後、2、3年生のレースも終わり、長かった障害物競走は終了した。穴に落ちた人達がどうなったのか、触れる者はいなかった。
《続いての競技は棒倒しです。出場する選手は入場門前に集合してください。繰り返します。棒倒しに出場する選手は入場門前に集合してください》
綾部さんの放送で、再びうちのクラスから10人が動く。各々彼らに激励し、全員で彼らの背中を見送った。
今回は俺達の中からは誰も参加しないため、トラックの障害を片付けている実行委員と先生を眺めながら、障害物を話題に会話に華を咲かせる。
「にしても、最後の障害をよく攻略したよな」
そんな言葉を口にした龍牙の視線の先には皐月。確かにそれは俺も思ってた。
「あんな見るからに何かありそうな穴を見たら塞ぐでしょ、普通」
余裕を浮かべてはいるが、頬の緩みは隠せていない。嬉しいなら素直に笑えばいいのに。
それにしても、塞ぐのが普通なのか……。
「……で、2人はどうして僕を見るのかな?」
俺と龍牙は無言で翔から目を逸らした。
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