再びの学園行事

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《綱引きと言えばルールを説明する必要もないでしょう。相手を攻撃するようなものでなければ魔法の使用もありです。それでは1回戦第1試合。D組とC組は位置に着いてください》 真ん中に整列していた俺達は両端に散って座らされ、置いてあった綱はトラックの中央に寄せられる。それを跨ぐようにして、左右に分かれた両クラスが位置に着いた。 D組とC組の試合は割愛させてもらおう。結果を言えば、C組が勝ち上がった。 落胆の表情を浮かべて退場していくD組と入れ替わり、俺達B組が位置に着く。反対側には準備を終えたE組。 「ちょっとやりたいことがあるから先頭に行かせて」 開始間際、皐月は先頭にいた女子に声を掛けた。それを見た俺も女子に断りを入れて2番目に入る。 「何で付いてくんのよ!?」 「いや、何をするのか気になって。別にいいだろ?」 丁度その時、実行委員が綱を持ち上げる指示を出す。今から移動するにはちょっと遅いだろう。 「今から移動しても迷惑ね。好きにしなさい」 「サンキュ」 皐月の許可も取り、腕と足に部分強化を施して、いつでも力を込められるように集中する。 実行委員の腕が持ち上がる。ピストルの引き金に指が掛かる。引かれる。乾いた音が飛び出る。 思い切り綱を引いた瞬間、決着はついた。  
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