再びの学園行事

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《そろそろ体育祭も中盤! 続いての競技は二人三脚です! 1年生は入場門でベルトを受け取り、パートナーとトラックの真ん中で待機してください。足はまだ縛らなくて構いません》 綱引きの決着はC組の勝利で終わり、ついさっき3年生の勝負が終わったところ。俺達は放送が入るより早く移動を始めていて、混雑する前に入場門に辿り着き、パートナーと合流していない龍牙と唯以外はベルトを受け取ってトラックの中央へ向かう。 《それでは恒例のルール説明! この二人三脚は普通とは違い長距離! 足を縛った2人1組のペアは、トラック半周地点からスタートし、入場門を抜けて校舎の周りを1周後、退場門からスタート地点まで走ってようやくゴールです! 魔法の使用はあり。ベルトが外れた時点で即失格です。パートナーとの呼吸はもちろん、お互いの体力も考慮し、迫る魔法も処理しなければなりません。甘い考えで挑むと痛い目見ますよ》 スピーカーから流れる放送に耳を傾けながら、俺と皐月、翔と彩華は軽いストレッチで身体をほぐす。俺と彩華はまだ激しく動いていないため、特に念入りに行う。途中で転んだりしたら洒落にならないからな。 人が増えてきたところでストレッチをやめ、声を潜めて皐月と話す。 「作戦を確認するぞ? スタート直後は体力を温存。上位のヤツらが潰し合ってくれるのを待って、後半で一気に畳み掛ける。魔法の処理は俺がするから、敵への攻撃はお前に任せた。C組を潰すのは構わないけど、前半は堪えろ。その分後半は遠慮しなくていいから」 一瞬不満そうな表情を浮かべた皐月だが、俺の最後の一言を耳にすると、口端を吊り上げて頷く。女子にそんな顔をしてほしくないんだけど……。 まぁ、お望み通りC組を潰せば元に戻るだろ。  
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