再びの学園行事

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入場門を抜け、ちょっとした階段を上り、校舎に沿って走り続ける。この学園は大きいが、どちらかと言うと長方形の形になっていて、正面と裏側の距離が長く、それに比べて左右の距離は短い。とはいえ、実際に走るとなるとかなりの距離だけど……。 校舎の角を曲がり、しばらく直線が続く。前方を走る上位集団は早くも潰し合いを始め、時折魔法が流れてくる。それをコードの力で消していると、後方から何やら声が聞こえた。 振り向けば、目前に迫る氷の棘。氷柱(つらら)が横向きで飛んできてるようで、先は鋭く尖っている。それが、3つ。 「っ! 【光壁】」 咄嗟に俺達の背後に壁を作って魔法を防ぐ。おいおいマジかよ!? まだ序盤だぞ? 俺達の位置は逆転を狙いやすい分、背後から狙われるリスクがある。わかってはいたけど、まさかこんなに早く攻撃してくるなんて……。 「光輝、反撃する?」 隣で皐月が右腕を後方に向けるが、他ならぬ俺がそれを止める。さっき魔法を使って感じたことだが、他人と動きを合わせて走りながら魔法を使うのは思ったよりも難しい。魔法の構築に集中すれば下手をすると転び兼ねない。 「魔法は使わずにこのまま走るぞ。当たりそうな攻撃だけ俺が防ぐ」 皐月は一度頷くと前を見据えた。 防ぐとは言ったものの、後ろからの攻撃にコードの力は使えない。手で触れなければならないし、何より消した瞬間を見られるからだ。意外と大変だぞ、これ。  
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