再びの学園行事

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光属性がいるなら大丈夫だろうと思うことにして、これで皐月の鬱憤が少しは晴れてくれるといいんだけど。 改めて残りの2組に目を向ければ、心なしか距離が開いてる気がする。あれだけ魔法を乱発してれば当たり前か。 「ここからは走ることに集中しよう。魔力の無駄遣いもよくないし」 横目で皐月を見ると、平静を装ってはいるがツラそうだ。何かに集中すると後先考えないというか、加減を忘れるのは悪い癖だな。でもまぁ、本人は疲れてることを絶対に認めないだろうし、望み通りゴールまでは頑張って走ってもらおう。 そして後ろ。後続は唯達とA組。俺の魔法に巻き込まれはしなかったみたいだ。お互いに小さな魔法を撃ち合いながら俺達を追い掛けてきている。 あの様子なら俺達が狙われる心配はないだろうし、魔法が流れてきても対処する余裕は十分ある。俺が注意さえ怠らなければ当分は後ろを気にすることなく走りに集中できるだろう。 そしてそれは前の2組も同じ。走ることだけに集中している俺達が追い付ける可能性は高い。もし追い付けなくても、一応考えは用意してある。そのためには少しでも近付かないと……。 足の動きがズレて転けないよう、皐月のリズムに意識を集中して走り続ける。 徐々に縮まっていく距離。 長かった直線も終わり、角を曲がって最後の直線に入る。ここが勝負所だ。  
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