再びの学園行事

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周りの光を吸い込むように左手に集まったそれは、白いオーラを纏った純白の長剣と化す。 前を走るE組の2人が気付いて振り向いた時にはもう遅い。発動の際に伸びた白い剣身は、両者の足を傷付けることなくベルトだけを斬り裂いていた。 《これは、これは、これはっ! ゴール直前で不意を突いたまさかの逆転劇! 剣でベルトを斬って失格にするなど一体何人が考え付くでしょう!? ちなみに私は思い付いてましたよ? 武器を出したわけではないので有効です!》 興奮した実況の声を耳にしながら、B組、E組、B組の順でゴールラインを跨ぐ。当然、E組はゴールに含まれていない。 「っと!」 喜ぶ暇もなく、身体の右側に掛かる重み。皐月が寄り掛かってきていた。 「おいおい、大丈夫か?」 「無理……。気持ち悪い……。吐きそう……」 「頼むから吐くなよ?」 皐月の腰に回していた右手に力を入れ、反対の手でベルトを外す。ちょっと無茶させ過ぎたかな? ふと後ろを見れば、俺達の後にゴールしたのは唯達。並んで走っていたはずのA組の姿はなく、どう見ても独走状態だった。 《B組が3着連続ゴールっ! 二人三脚第5走者、B組の独壇場です!》 「ははっ、さすがにキツいわね」 疲労と満足感の入り交じった表情を浮かべた唯と松井さんは、ゆっくりと勢いを殺しながら俺達の隣に並ぶ。皐月と違ってまだ余裕がありそうだ。まぁ、毎日の特訓に比べればマシだからな。 そういう意味では皐月のダウンは当然か。  
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