再びの学園行事

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「お疲れ」 労いの言葉をかければ、2人共笑顔を浮かべて言葉を返してくる。 「お疲れ様……って、皐月の顔が真っ青じゃない! 大丈夫なの!?」 唯に限っては焦りの表情に一変したけど……。 「日陰で休めば大丈夫だと思う。2人は先に戻ってて」 入場門から退場し、2人と別れて校舎の方へ。盗難防止のために昼以外は鍵が掛かってるけど、別に中に入るわけじゃない。グラウンドよりは日陰があるから、そこで休むつもりだ。 到着した日陰に皐月を座らせ、その隣に俺も腰掛ける。 「今度からは加減を覚えような?」 「……うっさい」 声に覇気がない。俺はやれやれと内心でため息を吐いた。魔法歴は皐月の方が長いはずなんだけどな……。 飲み物でも買ってきてやりたいところだが、生憎と財布は教室。水筒も持ってなかったので準備してない。最悪、先生に頼んでみるか。 ボーッとグラウンドを眺めていると、2年生のレースが始まる。終わるまでにはまだ時間がかかりそうだな。確か二人三脚の次は昼休憩だから、それまで休んでればいい。 「この競技が終わるまで横になったらどうだ?」 「……何が目的?」 「親切心!」 ったく、コイツは……。何だかんだで皐月は横になる。 「一応言っとくけど――」 「はいはい、何もしない何もしない」 何故か俺を一睨みし、腕を枕にして背中を向けた。 さて、終わるまでどうしよっかな……。  
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