再びの学園行事

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《これより40分、お昼休憩となります。40分後には自分のクラスの陣地で着席していてください。尚、5分前になると校舎の鍵を閉めますので、校舎内に残っていることのないように注意をお願いします》 自分の手の平に向けて初級魔法を放ち、コードの力で消す。そんな苦し紛れの練習で時間を潰していると、3年生の競技も終了し、待ちに待った昼休みに突入する。 同時に、隣で横になっていた皐月は身体を起こし、何事もなかったかのように立ち上がった。 「やっとね。ほら、教室行くわよ」 顔色も良いし、声に力も戻ってる。もう大丈夫みたいだ。ってか、起きてたんだな……。 丁度近くで解放された扉から中に入り、真っ直ぐ教室に向かう。まずは財布を持たないことには何もできない。 当然、教室に着いたのは俺達が最初。5分程待つと、続々とクラスメート達が戻ってきた。その中には龍牙達4人の姿も。 「先に食堂行って席を取ってればよかったな。この様子じゃ座れるか怪しいぞ」 戻ってくるなりすぐに教室を出ていくクラスメートを眺めながら皐月に声をかけると、違う方向から返事があった。 「あぁ、大丈夫。今日は頑張ってお弁当を作ってきたの」 声の主は、唯。その手にあるのは、可愛らしいピンクの風呂敷に包まれた三段重箱。俺の頭の中で、運動会、重箱、家族の3つのキーワードがイコールで結び付いた。 というか、何で重箱なんて持ってたんだ……?  
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