再びの学園行事

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そんな些細なことは置いといて、俺達は龍牙と唯の周りの席をくっ付ける。唯の美味い飯が食えるならどうでもいい。 輪の真ん中で開かれた重箱の一段目は、唐揚げやエビフライ、ハンバーグやミートボールなど。二段目には、卵焼きやウインナー、きゅうりの漬け物やポテトサラダなど。三段目には、海苔の巻かれた三角型のおにぎりが十数個。 完璧だ。完璧な重箱弁当だ……。 紙皿と割り箸を1人1人に手渡した唯は自分の分も用意して口を開く。 「ホントは外で食べたかったんだけど、さすがに暑いから。遠慮なく食べてね」 いただきます、なんて言葉はなかった。割り箸を割るのに手間取った俺と違い、他の4人はすでに皿の上におかずを確保。くそっ、出遅れたか。 俺がおかずをいくつか皿に移した時には、龍牙が次のおかずに箸を伸ばす。 「ちょっ、俺まだ食べてないんだぞ!?」 「知るか。食事は戦争。これ鉄則な」 そんな会話の間にも、残りの3人の箸も動く。 「無駄なことに口を動かすくらいなら食べることに口を動かしなさいよ」 「そうだぞ。唯の料理を前に会話など冒涜に等しい」 「僕的には構わないんだけどね」 そんなやり取りを笑顔で見守る唯。作った本人も箸を伸ばし、俺達は黙々と手と口を動かし続けた。  
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