再びの学園行事

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「ごちそうさま」 「はい、お粗末様でした」 空になった重箱を手際よく片付けていく唯。さすがにデザートまでは手が回らなかったと謝られたが、むしろそこまで作る気だったことに驚いた。こんな美味しい手料理を頂いた上にデザートなんて、そんな贅沢を言うヤツは消え去ればいい。 食事は20分程で終わったため、移動の時間を考えてもあと10分弱は余裕がある。喉も乾いたし、ちょっくら自販機にでも行ってくるか。 「飲み物買ってくるわ。唯は何が飲みたい? お礼と言っちゃ釣り合わないけど、奢るよ」 俺の言葉に、唯は何か言いたげに口を開きかけたが、こちらの気持ちを汲んでくれたらしく、一度頷いてから唇を震わせる。 「それじゃあ、ミルクティーをお願い。パックのやつね」 「了解」 視界の端で、龍牙と皐月が慌てて財布から小銭を出そうとしているのを捉えた俺は、パシられるより先に席を立って教室を出た。自分で動け。 自販機があるのは食堂前か、真逆の位置にある廊下の一角。ここからだと同じような距離だし、恐らく食堂は人が多いはず。よって、消去法で食堂とは逆の自販機を目指すことにした。 途中、A組の前を通ったけど、ぱっと見る限り嵐と坂上の姿は見えない。昼飯に誘えばよかったな。いや、それだと1人当たりの取り分が減ってたか……。 そういえば、2人は何の種目に出るんだろう?  
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