再びの学園行事

47/115
前へ
/217ページ
次へ
今更な疑問を胸に歩き続ける。体育祭が始まってからの競技を思い返してみるが、個人種目に2人が出ていた記憶はない。となると、2人が出るのは午後の種目か。 そんなことを考えているうちに目的地に到着。パックとペットボトルの自販機が1つずつあり、パックの方には2人並んでいた。 最後尾の後ろに並び、財布から100円玉を2枚出す。早々に2人が目的を果たし、俺も小銭を入れてミルクティーを購入。続けてコーヒー牛乳のボタンを押すと、予想外の事件が起きた。 「は……? どう間違ったらコレが出てくるんだよ……」 コーヒー牛乳と似ても似つかないその名は、リンゴジュース。 困った。コーヒー牛乳を飲みたい気分だったのに、まさかのリンゴジュースとは……。 「仕方ないか……」 もう1つ買うのも勿体無いし、我慢しよう。別にいいじゃん、リンゴジュース。美味しいし、果汁100%だし。 自分で自分を慰めながら教室に戻ろうとすると、リンゴジュースを持つ右腕に奇妙な引っ掛かりを覚えた。それも当然。振り向けば、俺の体操服の袖をちょこんと摘んでいる小さな女の子が視界に映った。 「えっと……桐沢?」 桐沢 佳奈。俺と同じく高校からの新入生。ツインテールで、小さくて、そのくせ胸は大きい女の子。確かE組だったはず。 その桐沢が、何故か俺の動きを止め、可愛らしい小さな口を開いた。 「……待って」 言うや、俺の袖から手を放し、自販機にお金を入れてボタンを押す。取り出し口から出てきたのは、俺の欲していたコーヒー牛乳。 「……交換」 桐沢は自分の持つ飲み物を持ち上げると、反対の手で俺の右手にある飲み物を指差した。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加