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真衣さんはじっと俺の目を見つめ、俺も負けじと睨み返す。
すると真衣さんはいつもの微笑みを浮かべ、
「そう。だったらいいの」
そう言って立ち上がった。
「それで、どうして真衣さんは俺の記憶のことを知ってるんですか? それに全てって……俺が忘れてるのはコードについての記憶だけなんじゃ?」
デスクに向かって歩き出す真衣さんを目で追いながら、尋ねたかったことを次々と口にする。
「如月のことだって――」
「光輝君」
不意に、真衣さんは俺の言葉を遮る。
そして微笑したまま振り向き、唇を震わせた。
「全てを知りたいのなら、全てを思い出しなさい」
――今は何も教えないってことかよ……。
そもそも、全てを思い出すには零が必要だ。
でも零はあれ以降出てこないし、自分であの世界に行くことはできない。
思い出そうとすると頭痛がするし、簡単じゃないんだよ……。
「あと、もう1つ話があるの」
俺が内心で愚痴っていると、真衣さんは修司さんに視線を向ける。
その視線を受けた修司さんは、小さく頷いてから俺に顔を向けて話し出した。
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