再びの学園行事

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「おかえり」 「ただいま。ほれ、ミルクティー」 「ありがと」 教室に戻ってきた俺は、唯の挨拶に言葉を返しながら、買ってきたミルクティーを彼女に手渡す。ちなみに、龍牙と皐月も飲み物を買いにいったらしく、2人の姿はない。途中で会わなかったってことは食堂の方に行ったのか。 さっきまで座っていた席に腰を下ろし、ストローを挿しながら時計に目を向ける。12時45分。ギリギリってとこだな。あまりゆっくり飲んでる余裕は無さそうだ。 チューチューとパックの中身を吸い上げていると、2分ほどして2人が戻ってくる。唯と同じミルクティーに俺と同じコーヒー牛乳。妙な親近感を覚えたが、まぁ妥当なチョイスだろ。 そうして飲み物を飲みながら時間を潰し、50分を過ぎたところで席を立った。 「次は借り物競争だっけ? それから……騎馬戦、リレー、マラソンだったよな?」 うろ覚えのプログラムとまだやってない競技を頭に浮かべ、自分の参加する種目を確認する。ってか、借り物以外全部じゃん。 「そうだな。午前で出番が少なかった分、午後はいよいよ私達が頑張る番だ」 俺と同じ種目を選択してるはずの彩華は、俺とは対照的にやる気十分。気持ちの問題だな。 「あまり乗り気ではないようだが、そんなに嫌か?」 周りのみんなもウンウンと頷き、怪訝な表情を向けてくる。こんな状況にも段々慣れてきたよ……。 「嫌ってわけじゃない。何だかんだで楽しいしな。でも最後のマラソンだけは別だ。嫌な予感しかしない」 種目を決める時にも思ったが、サバイバルって響きがどうにも落ち着かない。元々避けたかった種目だし、それが俺のやる気を低下させていた。  
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