再びの学園行事

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「光輝、リレーの練習の時も言ったけど……」 「わかってる。やるからには全力でやるさ」 龍牙の言葉を遮り、今一度自分のやる気に火を点ける。じゃないと俺の身が危うくなり兼ねない。 無理矢理やる気を出したところで、予定通り5分前にB組陣地に到着。鍵を閉めますよーという放送の後、借り物に出場する生徒の呼び出しが掛かった。 「じゃあ行ってくるわね」 その呼び出された1人である唯が席を立ち、他の9人と共に入場門に向かう。俺達も彼らを激励し、早速借り物競走について話し出した。 「借り物ってことは、魔法とか使う必要ないよな?」 イメージで発した問い掛けに答えてくれたのは、翔。 「そうだね。部分強化はともかくとして、誰かを攻撃したりすることはないはずだよ。でも、この競技はレース系の競技より厄介だからね。勝敗を決めるのはほとんど運かな」 確かに。借りる物にもよるけど、ほとんど手ぶらに近い俺達から何かを借りるなんて、それこそ運がよくないとクリアできない。競技として成立してるのか……? 「でも、朝霧先輩の話によると、どうやら借り物は“物”だけじゃないらしいんだよね」 「……あぁ」 理由を訊かずとも妙に納得した。だって、障害物競争も“物”じゃない所があったし。 そう考えればこの競技も成立しそうだ。物を持ってる生徒がいないなら、生徒自身を借り物にしようってことだろうから。  
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