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トイレで気持ちを切り替えて1年B組の陣地に戻る。
「おいおい、光輝。E組を助けたらダメだろ」
席に着くや、隣の龍牙がわけのわからないことを切り出した。E組を助けたってどういうことだ?
自分がどんな表情をしていたのかはわからないが、龍牙は嘆息すると再び口を開く。
「桐沢のお題だったろ?」
「……あぁ」
ようやく龍牙の言いたいことを理解した。そういえばそうだな。あの時はそんなこと考えてなかった。
「ごめん」
「まぁ、お前らしいっちゃお前らしいけどな。それに、俺が言うほど悪いことじゃねぇし。E組ならそんなに差はできないだろ」
そう言ってニカッと歯を見せて笑う龍牙。元々本気で言ってたわけじゃないだろうけど、龍牙のおかげでそういうことにも気付くことができた。体育祭も終盤だし、勝つためには気を付けないと。
《さぁさぁ、制限時間残り10分を切りました! まだクリアしてない人も最後まで頑張ってくださいねー。じゃないと面白くないですから》
実況の言葉に悪意を感じたものの、聞かなかったことにしてスルー。借り物競走も中盤を過ぎ、そろそろ終盤に差し掛かっていた。
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