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《しゅーりょー! 時間切れです。クリアできなかった選手はスタート地点に集合してください》
10分後、トラック内のあちこちから疲労と安堵が入り交じったため息が漏れる。気持ちはわからないでもない。クリアしていないということはゴール不可能なお題だったというわけで、20分もトラック内をうろうろしていたのはさぞかし苦痛だっただろう。
とぼとぼとスタート地点に集まっていく選手達は競技開始時の4分の1程度。それだけの人数がクリアできない競技、借り物競走。そもそも、お題変更不可ってルールが厳し過ぎると思う。普通はもう1周すれば変更できるのに。
《んー、大体40人ぐらいですかね? この得点減少で順位が大きく変わってくるでしょう》
残った選手達の申し訳なさそうな表情が痛々しい。ちなみに俺達のクラスが2人いた。
《実行委員の確認が終了した選手から退場してください。ついでに次の騎馬戦に参加する全1年生は入場門で待機。騎馬を作る組で固まっといてくださいね》
俺達がついでかよっ! 内心でそうツッコミながら、渋々重い腰を上げる。
「ようやく私達の出番だな。腕が鳴る」
「俺らの騎手はお前なんだから、頼むぞ」
彩華は何故か右肩をぐるぐる回し、龍牙はそう言って俺の肩に手を置いてきた。やる気なのはいいんだけど、プレッシャーをかけないでもらえますかね。
丁度陣地内にいた林君と山口君と合流し、俺達は入場門へと向かった。
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