再びの学園行事

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「どうやら俺達をご指名みたいだぜ。人気者はつらいな」 それに気付いた龍牙も声高に言葉を発し、俺達はD組を迎え撃とうとするが、 「神城、後ろだ!」 右後ろの山口君からの焦ったような声に、思わず後ろを振り返った。 そして、山口君の焦り様を理解する。すぐそこ――俺の魔法の射程内に、E組の騎馬。 「おい、こっちからも来てるぞ!」 加えて、林君のいる左後ろからはA組の騎馬までもが迫ってくる。もう無茶苦茶だ……。 「あー……、光輝。非常に残念なお知らせなんだが……増えたぞ」 「はぁ!?」 再び正面に視線を戻せば、さっきまで1組だったD組の騎馬が3組に増えていた。1対5……。勝てるわけねぇ……。 げんなりする俺達を余所に、5組もの騎馬は少し距離を置いて俺達を囲む。攻撃も防御も向こうが有利。騎馬を組んだままこの包囲は突破できないだろう。 「今度はB組を潰そうってか? 光栄だねぇ」 軽口を叩きながらも、ぐるりと周囲を見回す龍牙。突破口を探してたみたいだけど、すぐに諦めたように頭を垂れる。やっぱりそうか……。 恐らくリレーもマラソンも魔法ありだろう。そのことを考えれば、ここで無駄な魔力を使いたくはない。 「みんな、後々のことを思えば……」 3人も同じことを考えていたようで、渋々といった様子で頷く。それを確認して、俺は自ら騎馬上から飛び降りた。  
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