再びの学園行事

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途端に包囲網を解き、さっきまでの連係プレーが嘘のように互いを攻撃し始めるA、D、Eの5組。昨日の敵は今日の友どころか、昨日の仲間は今日の敵だ。予想はできてたけど……。 「B組の次はA組だよな、多分。いっそこっちも手を組んでみるか?」 「今更だって。そういうことはもっと早く言えよ、二宮」 「この後の競技じゃ手を組むのは無理そうだな」 これ以上戦場にとどまる必要のない俺達は大人しくトラックへと退散する。地面に座り込むや、龍牙、林君、山口君の3人がそんな会話をしているのを耳に入れながら、俺は足の汚れを払い、靴下と靴を履いた。 「にしても、あの3クラスの連係はすげぇな。あっという間にA組もピンチだ」 俺達3人は龍牙の言葉にそれぞれ同意の言葉を返す。トラック内に残っているA組とB組の数は他の3クラスと比べて圧倒的に少ない。強者を倒すためにとことん協力するみたいだ。 「リレーで協力するのは難しいけど、マラソンは不可能じゃないよな?」 俺の言わんとしていることを察した龍牙が苦々しげに表情を歪める。俺達の予想通りなら、マラソンの時もあの3クラスは何か仕掛けてくるはずだ。 「マジで手を組んでみるか? でもこれまでの競技を見たかぎり、マラソンには多分架神が――」 「よし、B組の底力を見せてやろうぜ!」 架神と手を組む? そんなことするぐらいなら3クラスの連係に負けた方がマシだ。と言うより、架神には絶対勝つ!  
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