再びの学園行事

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返す言葉を用意していたであろう龍牙も、何となく耳を傾けていた俺も、架神の台詞に言葉が詰まる。 「架神が珍しく高評価だ……」 信じられないものでも見たかのように、細めの目を一杯に見開く嵐。 そう。龍牙はともかく、架神が俺にまでそんな評価を下したことが信じられなかった。あの、常に他人を見下している架神がだぞ? そういえばと、襲撃から2日後の病室で言われた言葉を思い出す。 『お前に少し興味が湧いた』 もしかして、あの言葉が関係してるのか? 架神が俺を褒めるなんて気持ち悪いことこの上ない。 鳥肌が立つ程に不快な感覚に陥っていると、丁度スピーカーから綾部さんの放送が流れた。 《えー、選手の準備が整いましたので入場してもらうわけですが、その前にルール説明! 皆さんご存知の通り、このクラス対抗1200mリレーは男子4人が200m、女子4人が100mを走るわけですが! ただ走るだけじゃつまらないですよね? 》 いや、普通でいいです。 どうせ聞こえないため、声には出さなかった。 《ということで! 選手以外のクラスメートは自分達の陣地から魔法を使うことができます! ただし、選手に魔法を当てることは問題があるため、それ以外の方法で妨害を試みてください。なお、走者は妨害を突破するためなら攻撃魔法を使うことができます》 「はぁ……」 予想してたとはいえ、危険かつ面倒なルールに思わずため息を漏らす。どうして体育祭でこんな神経が擦り減るような思いをしなきゃいけないんだか。  
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