再びの学園行事

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《それでは選手の入場です!》 実行委員の誘導に従い、俺達は駆け足で入場し、二手に分かれる。スタート地点と半周地点だ。 龍牙、松井さん、俺、彩華、林君、山口君の6人はスタート地点へ。須藤さんと唯は半周地点で待機する。 「頼むぜ、二宮」 「できるだけ差を広げてね」 林君と松井さんからの激励を受けて、先頭走者の龍牙はトラックに足を踏み入れた。あらかじめじゃんけんで決めた結果、B組のスタートは第3レーン。丁度真ん中だ。 内側のレーン程後ろからのスタートという典型的な形で、各々5クラスの先頭走者が位置につく。ぷらぷらと手足を振ったりほぐしたりした後、全員が片膝を立てた状態でしゃがみ、クラウチングスタートの構えに入った。 「位置について、よーい……」 お馴染みの掛け声。響く発砲音。 競技開始と同時に誰よりも早く一歩目を踏み出したのは、やはりというか、龍牙だった。 「よしっ!」 上々の出だしに、スタート地点で順番を待つ俺達5人は小さくガッツポーズ。その間にも龍牙は勢いに乗り、様々な妨害もお構いなしに後続との距離を開いていく。 地面が盛り上がろうが、凍ろうが、ぬかるもうが、華麗にステップしてやり過ごす。同じ学年だとは思えない素早さだ。  
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