再びの学園行事

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《B組、速い! 他クラスからの妨害を物ともせず、どんどん2位との差を広げていきます!》 独走状態の龍牙は、2位のA組とトラック3分の1周程の差を広げて帰ってくる。 「松井!」 「うん!」 走り出しながら片手を伸ばしていた松井さんの手に赤いバトンを強く押し付ける龍牙。しっかり握ったのを確認し、彼女とぶつからないようにトラック内へ進路を変えた。同時に、松井さんも全力で駆け出す。 しかし、数歩先で彼女を妨害する火柱が出現し、松井さんは急ブレーキをかけて真横に跳び退いた。衝突こそしなかったものの、そのせいで乗りかけていたスピードが一気に減速してしまう。 再び走り出した松井さんが50mを超えた辺りでA組も次のランナーにバトンが渡った。 第2走者は、嵐。 普段のおちゃらけた雰囲気は一切なく、真剣な表情で松井さんの背中を鋭く睨みながら足を動かす。綺麗なフォームで走る嵐は、そのスピードも相俟って、野を行くチーターのような迫力を醸し出していた。 味方のアシストと自身の魔法で次々と妨害を打ち破っていく嵐。その間に松井さんは須藤さんにバトンを渡すが、相当練習しない限りどうしてもペースが落ちてしまう。結果、そのわずかなもたつきの間に、龍牙が広げた差は縮まってしまった。  
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