再びの学園行事

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左手にはバトンを、右手には【明光剣】を握り、立ちはだかる妨害を次々と斬り裂きながら走る。妨害といっても、直接攻撃してくるわけじゃないから、大体が進路を塞ぐような魔法ばかりだ。突破すること自体は何てことはない。 ただ面倒なことに、E組がここぞとばかりに集中して妨害してくるため、俺も、後ろを走るA組も、なかなかE組との距離を詰められない。コードの力を使えれば便利なのに……。 「しつこいな……!」 凍った地面を避けて進もうとすれば、避けた先に炎の壁が火柱となって立ちはだかる。舌打ちしながら右腕を持ち上げたその瞬間、目の前にあった火柱が唐突に姿を消した。 「今だよ、光輝!」 「っ!」 考えるより先に足が動く。火柱があった場所を駆け抜け、真っ直ぐE組を追う。行く手を塞ぐ魔法は俺が何かするわけでもなく相殺され、俺は消し切れなかった魔法だけを処理して走り続けた。 さっきの声は翔のものだった。となると、今他クラスの妨害を相殺してくれてるのはB組だろう。ありがたい。おかげで随分楽になった。 数メートル先でE組が次の女子にバトンを渡す。練習不足か、受け渡しの流れが悪い。今がチャンスだ! 右手に握っていた【明光剣】を消し、姿勢は低くして更にスピードを上げる。接近できればE組は俺に対して妨害ができなくなるはずだ。仲間を巻き込み兼ねないからな。  
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