再びの学園行事

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果たして俺の予想通り、接近するにつれて妨害も少なくなり、彼女の隣に並んだ時には実に静かなものだった。妨害の全ては後ろを走っていたA組に回ったみたいだ。 さて、ここからどうするべきか……。 隣を走るE組の女子と比べて、やはり男子である俺の方が速い。しかしこのまま抜き去ると再び妨害のオンパレードに巻き込まれるだろうし、かといって同着では後々不利になるかもしれない。正直、広げられる時に差を広げておきたい。 いや、となると選択肢は始めから1つか。 妨害覚悟で突っ込む! トラック4分の3地点を超えた辺りで、ついに俺から均衡を破る。並んでいたE組から3歩程前に出れば、狙っていたかのように妨害が再開した。 「残り半々周ぐらい……!」 正面に立ちはだかる魔法はクラスメートが相殺してくれたため、横から広がってくる広範囲の魔法に注意しながらゴールを目指す。ここでもさっきと同じで、ゴールに近付ければ妨害はない。次の選手に魔法が当たるかもしれないからだ。 ゴールまであと少し。俺との距離を計り、第4走者の彩華がスタートする。 俺は左手に握っていたバトンを右手に持ち替え、走りながら後ろに伸ばす彩華の右手にバトンを叩き付けた。 「頼んだ!」 「任せろ!」  
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