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ここまでの人選から察するに、E組もうちのクラスと同じく、アンカーは男子だ。となると、この1周でできるだけ差を広げておきたいところ。
「行けーっ! 林ーっ!」
「頑張ってーっ!」
隣で座っていたはずの龍牙がいつの間にか立ち上がり、須藤さんと共に大声を張り上げる。
林君とE組は距離を保ちながら半々周を駆け抜け、クラスメート達は互いのクラスの妨害と相殺に専念し始めた。
防御魔法が故にレパートリーが少ないため、走者妨害者問わず対処が素早い。処理するべきか避けるべきかをこれまでのパターンから瞬時に判断し、走り続ける。
《おーっと!? ここでA、Dの両クラスが追い上げてきました! 妨害が手薄になったからか、みるみる距離が縮まっていきます!》
綾部さんの実況通り、競技開始以降特に目立った活躍のなかった両クラスが徐々に巻き返してきた。これにはさすがに妨害を1クラスに集中することはできず、B組もE組も後方の2クラスに人手を回す。
一方、姿の見えないC組は半周程後ろにいた。どうやら前半に女子を集中させたらしいが、それが完全に裏目に出てしまったみたいだ。B組とE組程の妨害はなかったとしても、あれは相当厄介だということは身を以て知っている。少しずつ縮まっているとはいえ、前方のクラスに追い付くことは難しいだろう。
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