再びの学園行事

75/115
前へ
/217ページ
次へ
進路を塞ぐ炎系の防御魔法に向けて、その腕を突き出し、振り払う。たったそれだけで妨害の魔法は掻き消され、腕を振った勢いで更に加速。本気で1位を狙ってやがる。 しかも未だに右手に纏ってる黒い光。あれは恐らく上級魔法だ。 以前、真衣さんが坂上との戦いで使い、不発に終わった白い光。 魔法名、【白の衝撃】。 魔術書によると、その光を叩き付けた相手に衝撃を与えるという、上級魔法にしては地味な魔法。けれど上級の中でもコンパクトで高威力。非常に使い勝手が良いと書かれていた。 そしてその文の最後に書かれていた言葉。この魔法と対を成す闇属性上級魔法。 魔法名、【黒の波動】。 効果はわからないが、さっきの動きを見るかぎり、同じような魔法だろう。 その手を眼前に突き出し、架神はただただ真っ直ぐ駆ける。上級魔法と妨害程度の防御魔法。どうなるかなんて言うまでもない。 《速い! 強引に直線距離を走るが故にみるみるトップとの距離を縮めて――いや、並びました! そして今、あっさり抜き去りました!》 状況は綾部さんの実況通りだった。 いくら妨害があるとはいえ、架神はE組を抜き、先頭を走っていた山口君にもあっさり追い付き、軽く抜き去る。龍牙と同じぐらいの速さで走っていた山口君を、だ。つまり、架神のスピードは龍牙より速いってことになる。 架神はそのままことごとく妨害を無効化し、当然のように1着でテープを切った。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加