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◆ ◆ ◆ ◆
「本当に教えなくてよかったんですか?」
光輝が出ていった後の学園長室で、修司は学園長である真衣に向かって口を開いた。
「いいのよ。恐らく、近いうちに自分で思い出すわ」
「いえ、そっちではなくて……」
質問の意味が違っていたことに対し、疑問符を浮かべる真衣。
「皐月君のことです」
修司は言葉を変えて再び問い掛ける。
「教えなかったのはアナタでしょ。まぁ、口止めしたのは私だけど……」
愉快そうに微笑む彼女に、修司は真面目な表情で唇を震わせた。
「今の光輝君になら話してもよかったのでは? 恐らく気付いてますよ、彼」
それを聞いた真衣も、同じく真剣な表情に変わる。
「人の過去を軽々しく言うものじゃないわ。それがツラいものなら尚更ね」
真衣はそう言い、机の引き出しから4枚の紙を取り出した。
紙に書かれているのは人の名前や学年、属性等々……。
所謂個人名簿というやつだ。
「これで桜丘にいるコード保持者は4人……。さて、これからどうなるかしら」
その資料のうちの2枚には、光輝と皐月の顔写真が貼られていた。
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