再びの学園行事

78/115
前へ
/217ページ
次へ
「ぐぬぉ!?」 思わず変な声を漏らしながらそこを見やれば、視界に映るのは曲げられた皐月の肘。その先端。 「なにチンタラしてんのよ。アンタも出るんでしょ」 顔は正面を向いたまま横目でこちらを見やり、俺が口を開くより先に言葉を放ってきた皐月。 何しやがる!? とでも言い返そうと思ったが、皐月の態度を目にしてある可能性が浮かび上がる。 もしかして、こいつなりの激励? アンタも気合い入れなさいってことか? いやいや、どんだけポジティブなんだよ、俺は。 元々そんなに怒ってなかったとはいえ、小さな火種はいつの間にやら鎮火していた。 「はぁ……。んじゃ行ってくるわ」 気持ちを切り替えるためのため息を吐き、待っててくれている2人と合流。 「3人共、頑張ってね」 「優勝したらパーッとやりましょう」 「最後なんだから勝ってきなさい」 翔、唯、皐月、そしてクラスメート達からの声援に軽く手を振って応え、踵を返し入場門へと向かう。 そう、最後の種目だ。ここまできてうだうだしても仕方ないし、どうせなら気持ちよく終わりたい。それにどのクラスもそこまで得点に差はないはずだ。 「龍牙、彩華。絶対勝つぞ!」 狙うは、優勝。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加