再びの学園行事

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次の瞬間、爆発。 耳をつんざく爆発音。小刻みに揺れる地面。後方からの突風。 勢いよく踏み出した1歩目は地面に縫い付けられたかのように動かず、視線は反射的に後方へ向かう。 そこで目にしたのは、黒く焦げた地面と、その周囲に横たわる多くの生徒達だった。 「行くぞ、光輝! 止まってる時間はねぇ!」 そんな言葉と共に龍牙に腕を引かれ、ようやく足が動き出す。視線を正面に戻せば、架神や嵐を含めた先頭集団はすでに走り始めていた。というより、今の爆発には見向きもしなかったみたいだ。 《開始早々、大・爆・発! どうやら後方にいた生徒の自爆だったようです! 周囲にいた選手は爆発に巻き込まれ気絶……。どのクラスの作戦かわかりませんが、味方も犠牲にする捨て身の奇襲ですね。果たしてこの作戦は吉と出るのでしょうか、凶と出るのでしょうか!?》 解説とも取れる綾部さんの実況でさっきの状況を理解しながらトラックを1周し、焦げた地面を横目に裏口から校舎に入る。廊下には矢印の書かれたプレートや張り紙があり、それに従って廊下を駆ける。 「【風刃】」 不意に、後方から放たれた声。その魔法名と日頃の特訓により、俺は反射的に魔法を発動した。 「【光壁】」 振り返るより先に、高さと横幅を自分の身体に合わせた大きさの壁を背後に召喚。初級魔法でも範囲を小さくすることで壁の耐久力を高めることができる。隼人先輩に教わった応用技だ。  
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