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俺達の前を走っていた生徒も、後ろを走っていた生徒も、予想されるこれからの展開を察して全力で走る。
約3秒後、大量の水が濁流の如く飛び出してきた。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!」
背後から牙を剥いて迫ってくる水龍。それがいる時点で魔法だとわかるが、防御魔法で窓や教室を守っているところを見ると、学園側のトラップってことか。
……って、悠長にそんなこと考えてる場合じゃねぇ!
人前ってことと中継されてるってことでコードの力は使えない。防御魔法を展開したらその間足止めされて大幅なタイムロスになる。
結論、とにかく3階まで上るしかない!
瞬間、背後で悲鳴。
横目で振り返れば、後ろを走っていた3人が姿を消していた。呑み込まれたか……。
矢印が指す階段は目前。1人、2人と前を走っていた生徒を追い越し、背後からの重圧を感じながら床を蹴る。
ふわりと浮いた身体は、3階へ向かう階段の踊り場に叩き付けられた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ぜぇ…ぜぇ……」
どうやら彩華と龍牙も無事みたいだ。
階段下を確認すると、水龍は廊下の角を曲がっていたため、階段に被害は届いていなかった。
「トラップとかふざけんなよ。おかげでペースが滅茶苦茶だ」
倒れていた龍牙が身体を起こしつつ愚痴を漏らす。同感だ。これで俺達が最後尾になったってことだし、ホントに追い付けるのか怪しくなってきた。
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